攻めた企画が毎度話題となる「水曜日のダウンタウン」。
「大喜利苦手芸人 酔った状態の方が面白い説」で、オードリーの春日が放った一言が話題になった。
オチなしクソ野郎
同企画内で出された
「オチなしクソ野郎は?」
というお題。
このお題が秀逸だった。
これはつまり端的に言えば
「世間一般的にはおもしろい人とされてるけど、つまらないだろこいつと思う人を答えてください」
というものだ。
ロンブー田村淳さんの『クイズ スター名鑑』や、また、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』の、「お前そうちゃうんかグランプリ」に通ずるところがある。
『水曜日のダウンタウン』の構成作家には高須光聖さんがいるから、そのイズムが十分感じられるお題だし、この言葉のルーツはおそらく有吉さんが『アメトーーク!』で品川さんに放ち、のちに「おしゃクソ事変」と語り告げられる「おしゃべりクソ野郎」からのものと思われる。
オードリー春日の回答が話題に
ここでオードリー春日さんは
「ブルゾンちえみ」と最初に答えた。
すごくいい回答だと思うし、スタジオも盛り上がった。
しかし、次に答えた回答でスタジオが凍りつく。
中山秀征「ABブラザーズ」時代
お題「オチなしクソ野郎は?」
春日「秀ちゃん」
秀ちゃんとは、中山秀征さんのことである。
酔ってるとはいえ、カメラの前で、芸能界の大先輩にあたる中山秀征さんを「オチなしクソ野郎」と回答した春日さんの芸人魂は評価したい。
そもそも昔の芸能界は、みんな誰かの悪口を言っていた。
春日さんが「秀ちゃん」と回答したあと、松本人志さんのドン引きしたアップが抜かれていたが、そもそも、誰よりも先に中山秀征さんのことをディスり倒していたのはこの松本人志さんだ。
爆笑ヒットパレードでの因縁
その昔、『爆笑ヒットパレード』で、豊川稲荷から中継で若手芸人が漫才を披露するコーナーがあり、ここに、若き頃のダウンタウンとABブラザーズ(中山秀征・松野大介)が出演した。
このときダウンタウンが披露する予定だった漫才が野球ネタだったが、ABブラザーズも野球を扱ったネタをやる予定だったため、当時駆け出し漫才師だったダウンタウンは、野球ネタの漫才を変更するようスタッフから命じられた。
しかたなくネタを急遽変更し、自分の舞台を終えたあと、袖からこっそり中山秀征(ABブラザーズの野球)のネタを見ていた松本人志さん。
「俺たちのネタまで変えさせて、どれだけのネタをやってくれんねん、と見ていたら、ぜんっぜんおもんないねん!」とガキの使いではっきりと発言している。
この発言はYouTubeでも残っているのでぜひ見てみてほしい。
※ABブラザーズ・中山秀征の発言はピー音で伏せられている
殿様のフェロモン
この因縁は、のちに始まるフジテレビの深夜番組『殿様のフェロモン』での殺伐とした空気にも繋がっていく。
東京からは中山秀征、関西からはダウンタウン組の若頭とも言える今田耕司を筆頭とした、ダブルMCの東西激突となったからだ。
中山秀征さんは当時のことを、すごく怖かったとのちに語っているし、今田耕司さんも、中山秀征のタマを取りに行く覚悟で臨んでいたと話している。
この二人は17年間プライベートでの交流がないままだったが、ザブングル松尾陽介の仲介により、初めて一緒に飲みに行ったと言われており、のちに番組でも共演し、和解している。
ダウンタウン世代
しかし、当時のダウンタウンの影響力は圧倒的に強く、松本人志さんが「中山秀征はおもんない」と言えば、当時のキッズたちは全員それを信じるのだ。
ダウンタウン世代であったオードリー春日さんもまたその一人であり、どこかに「中山秀征はおもんない」と脳裏に焼き付いていたと思われる。
中山秀征さんは現在お笑い芸人という立ち位置ではないし、春日さん自身も決して悪意を持って言ったわけではないだろうが、中山秀征=おもんない、というダウンタウンが作ったいじりの方程式を、あの企画内でお酒の力が発言させたのだと思う。
視聴者として、実におもしろかった。
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【とんねるず・ダウンタウン】なるほどザワールド、いいともに続く共演を考える 1/2