鷺谷政明の埼玉県外

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「江戸川乱歩傑作選」全編感想・レビュー 100年後も名作であり続ける傑作選

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10代20代30代、どの年でもたまに読むけど、いつ読んでも本当に面白い。

10年後読んでもそう感じるだろうし、100年後読んだ人もそう感じるだろう。

感想

二銭銅貨

トリックを仕立てて、サラッとそれをもう一つ上回るトリックで締めるという鮮やかさ。これが江戸川乱歩か、と絶句する一遍。

華麗なるデビュー作。

二廃人

壮絶な幕切れ。

えっ?と思うのも束の間、ズバッと終焉を迎える。

推理小説というよりは、純文学作品。

なんとも、感想を人と語らずにはいられなくなる一遍。

D坂の殺人事件

明智小五郎登場。

ただ、意外と現代でこれを見るとわりと平凡な話に感じるところはある。

心理試験

 江戸川乱歩作品は、推理の展開が際立つというより、物語の展開が際立つ。なので、トリック云々よりもやはりこのストーリーに引き寄せられる。

赤い部屋

ものすごく邪推に表現してしまえば、要は単なるドッキリ。

それなのになんとも不穏な世界観を生み出すこの描写力たるや。

屋根裏の散歩者

明智小五郎。これもまた、トリック暴きはわりとあっさりおこなわれる。

人間椅子

本作の中で一番好きな作品。

というより、一番ゾッとする。読んでいて、思わず、わっ、と本を落としてしまいそうになるほどの衝撃を覚えた。

完全に江戸川乱歩の手中。

鏡地獄

江戸川乱歩の表現力を持っても、この鏡の世界、とくにボールの中の鏡の世界がどんなものなのかが、もう一つ連想できなかった。

芋虫

こちらはその表現力が痛いほど伝わってきて、読んでいて苦しくなってくる一遍。

エドガー・アラン・ポー

江戸川乱歩とはどんな人だったんだろうか。

これだけの話を作るので、さぞ陰湿で根暗で怖そうなイメージを勝手に抱いてしまうが、江戸川乱歩という、このいかにも文豪的なペンネームは、エドガー・アラン・ポーが由来である。

これは冷静に考えるとなんともお茶目だ。

例えばそれは、レオナルド・ディカプリオが好きだから、刑事鰤夫とつけました、とかそんなノリ。ある種、たけし軍団のノリに近い。

もしかしたら、その人物像は、とてもユニークな人だったのかもしれない。