鷺谷政明の埼玉県外

人と被らない会話の小ネタ

養老孟司さんの講演に行ったらとんでもないことが起きた話

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bluetoothがなかったら、週に一度のマラソン習慣を20年近く続けていなかったと思う。

マラソンには養老孟司

といっても2ヶ月くらいさぼってしまうことも多々あるし、年末年始もさぼってしまうし、少し体調が悪くなってもすぐさぼってしまう。

非常にゆるい習慣ではあるが、でも一応、週に一度約1時間走る。距離にして7km前後。

走るときは主に養老孟司さんの講演を聞く。Youtubeのを。

マラソンは強制的にスマホから断絶されるのがいい。いくら現代人でも、スマホをいじりながらは走れない。

スマホを捨て、外で走るという脳内のリセットタイムに、養老孟司さんのお話を聞いていると、その言葉がスッと入ってくる。

健康のためにというより、脳のリセットのために走りに出ているような気さえする。bluetoothがなかったら、こんなに走り続けていなかったかもしれない。

一度でいいから見てみたい

これだけ養老孟司さんのお声をいつも聞いていると、一度でいいから生で聞いてみたいと思う。

そこで、こんなものを見つける。

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なんと池田清彦さんとの共同講演で4,400円。

これはアリ。

ということでさっそく申し込んだんだけど、一つだけ言いたい。新潮講座

サイトのUIが古すぎてかなり使いにくいのと、支払ったあともなにも通知が来ないから、当日までめっちゃ不安だった。

受付で「え?支払いされてませんけど?鷺谷?そんな名前もありませんが?」とか言われるんじゃないかという。大丈夫だったけど。

現地に到着

 で、当日ドキドキしながら現地へ。

場所は神楽坂駅から歩いてすぐの、新潮社別館4階ホール。

10分くらい前に会場に入る。

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約200人くらいだろうか。

平均年齢は50歳くらい。でも隣の男性は25歳くらいの若い子で、メモを準備していた。

神降臨

ふとみんなが後ろを見るので自分も振り返ってみると、そこには神楽坂に舞い降りた2体の現人神の姿が。

養老さんと池田さんが普通にいる。俺が振り向いたとき、養老先生と一瞬目が合ったような気さえする。

今目合った!俺今、養老先生と目合ったよな!?

と心で絶叫していた。

80代の男性と目が合ってはしゃぐ30代男もなかなかいるまい。

講演開始

壇上の両サイドに扉があったので、音がかかって、そこから登場するのかと思ってたら、係の人と一緒に普通に後ろから来た。

で、そのまま前の登壇して椅子に座り、係の人が「では池田清彦さん、養老孟司さんの講演会を始めます」といった簡単な紹介のあと、池田さんが「えーっと、遺伝子とAIってことなんだけど…」と普通に始まった。

音もなにもなく、あまりに普通に始まって、なんとなくお二人で交互にお話しながら気がついたらもう20分以上経過してた。

座って、ただ喋って、これだけ魅了するっていうのは、どういうことなんだろうと思った。

自分も講演するので、

saitamapose.com

このおもしろさを紐解きたくなった。

お二人の博識っぷりか。話の展開のうまさか。声のトーンがいいのか。またはこちらが権威を感じているからか。

エンジンがかかる

30分、40分と進むと、お二人のエンジンも温まってきたのか、いよいよ話が止まらない。とにかく止まらない。

72歳と80歳。これだけ論旨がしっかりしつつ、かつアドリブで、淡々とおもしろく話せるものかというくらいおもしろい。

テレビだったら放送できないだろうなという話もバンバン入ってくる。

山梨県道志村のキャンプ場の行方不明女児のこと、既得権益、健康診断と医療機関の闇…

90分終了

あっという間に1時間半が経ち。講演が終わった。

少し疲れてきたな、というあたりからまた話がおもしろくなったりするからすごい。

終わる頃は、ああ、もう10分くらい聞いていたいと名残惜しささえあった。

終了後、エレベーターとか混むかなと思って少し早めに出た。

すると、エレベーターホールの前に池田清彦さんが普通に立ってた。

「ありがとねー」と帰る来場者に声をかけている。

え?

なに、握手タイムありなのこれ。想定外なんだけど。

養老孟司さんとまさかの展開に

でも養老孟司さんがいない。

そこで思った。

奥のトイレではないかと。

自分も用を足したかったが、今行くと二人きりになる可能性がある。

それは怖い。

怖いけど、もしかしたら神と二人きりという、これは千載一遇の好機っ…!

というわけで、バカのふりしてトイレに向かう。

ガチャ。

いた。

トイレは小水用が二つ、大が一つという、小さな小さなトイレ。

(わー!わー!)

と思いながら、養老孟司さんの隣の小水用便器に行き「ありがとうございました…」とそっとお声をかけてみた。

こんなところで声かけんなよという非礼は承知だが、無言で隣に立つのもどうかと思い、ドキドキしながら一言お声を。

「ああ、はい」と養老孟司さんは言ってこちらを見た。

全力で目が合った。

「…年を取るとね、トイレが近くなる」

と少し笑顔を見せて頂き、そのまま手を洗いに行ったので自分もあとに続き「いつもご本、読ませて頂いています」と最後にもう一言。

「いつも走りながら講演聞かせてもらっています」だと意味分かんないので、それは止めた。

養老さんは「ああ、そうですか 笑」と一言残されてトイレを後にされた。

まさかの写真タイム

トイレから出ると、エレベーター前は帰りの人で溢れていて、主に女性陣が「先生!一緒に写真撮って!」とみんなに囲まれていた。

写真もオッケーなのかよ。

チェキ1枚500円とかじゃないのこれ。

無料かい。

俺も撮りたいんだけど。

謙虚な野郎共

俺も一緒に撮りたい。でも行けない。

これ、その場にいた男性はみんなそうだったと思う

みんな羨ましそうにその光景を眺めているだけで、女性陣はみんな積極的に写真を撮っていた。

これが、日本の男です。

養老孟司を知るには

養老孟司さんってどんな人なの、と思う人はこの本からがいいと思う。

最近出たものだし。

てっとり早く真骨頂に迫りたいというなら、平成でもっとも売れた実用書であり、日本のベストセラー歴代5位の『バカの壁』だろう。

439万部売れた、日本大言論。

あらゆる討論番組も見ているのがバカバカしくなってくる、養老孟司さんによる日本総括、いや、人生総括といったところか。