TBS「ガチンコ!」で唯一ガチンコだった伝説回

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TBS「ガチンコ!」はその番組名に反して、その後日談で次々とやらせ疑惑が浮上した。

ただ、その発覚がそこまで騒動にならなかったは、視聴者も、うすうすそれをどこかで感じているうえで楽しんでいたからではないかと思う。

唯一のガチンコだった回

どんな番組であっても、例えそれが若者(塾生)を育てるといった企画であっても、スポンサーがいて、制作費があって、その大金を動かしながら大人たちが番組制作のために日夜奔走している

枠としては全国放送のゴールデンで。局が威信をかけて望む枠だし、スタッフも、精鋭チームが結集され、何度も何度も会議が繰り返され、ようやく番組となり、そこから何度も編集を繰り返し、多くの人間のチェックを受け、ようやく放送される。

そんなスタッフたちがどれだけ頑張ろうと、視聴率が取れなければ、塾生以前にそのスタッフたちが首を切られてしまう

ガチンコ!の名物といえば、講師と塾生が揉めるシーン。

ここが、ガチンコ!名物でもあったわけだが、やらせ疑惑というのは、どうやらその喧嘩を誘引するような指示があったのではないかというもので、台本まであった、という話しもある。

その辺の良し悪しはここでは横に置いておくが、それに物申した一が歴代講師の中でただ一人だけいる。

それが、オール巨人さんだ。

ガチンコ!漫才道

ガチンコ!漫才道は、オール巨人さんを講師に迎え、若手漫才師を育てるというもの。

この放送第一回目で、さっそく巨人師匠に食いかかった男がいた。

その男は講師であるオール巨人さんと揉め、退場させられる。いつものパターンだ。

しかし第二回目、巨人師匠はその後あることに気づき、こう話したのだ。

「これ、触れないと僕はこの番組降りるって言うたんですけど。前回、態度悪かった子、あれ、他の番組でチラッと見てしもて、むちゃくちゃ真面目なんですわ。で、どっちがホンマのお前なんやと気になってしもうて。僕は、この番組で仕込みとかやらせとか一切嫌ですと。そんなんやったら僕は(この企画)すぐ辞めますと。昨日もそれでえらい(スタッフと)問題なったんですが。(スタッフが言うには)それは全くないと。両方とも彼なんだそうです。だからこの番組続けますけど、これはテレビのご覧のみなさまにも言いたい。僕は絶対嫌ですから、そういうことは」

これ以降、ガチンコ!漫才道は、これまでのパターンと全く違い、講師に噛み付く塾生は一人も出ず、番組史上唯一のガチンコとなり、番組史上もっとも地味な回となった。

オール巨人のすごさ

この回を見ていて思うのは、巨人師匠の見る目。

このとき、若手の漫才師が何十組も出演していて、最初9組まで巨人師匠が絞り込むが、その中には、あるある探検隊のレギュラー、のちにピンでエロ漫談で売れる天津、そしてのちにしずちゃんと組んでM-1決勝まで上り詰める、南海キャンディーズの山里亮太の前身コンビ、足軽エンペラーが残っていた。

そこから、さらに一番を決める戦いでは、巨人師匠は足軽エンペラーを1位に選んでおり、最終的に残った3組での一般投票決戦では、足軽エンペラーがぶち抜きで1位となった。

それ以降、山里亮太さんの活躍はここで語るまでもない。

ちなみにこのときの話は、山里亮太さん自身、ラジオで語っており、どうやら、ガチンコ!のディレクター陣は、講師どころの怖さではないらしい

島田紳助「阪神巨人には勝てない」

あの島田紳助さんが、「(同じ世代で)漫才が一番うまいのはオール巨人阪神」だとよくテレビで話していた。

「なので、あの王道路線でいっても絶対勝てないと」感じた紳助さんは、紳助竜介というコンビで、ヒール役(ツッパリ漫才)でいこうと決めたという。

NSC一期生の伝説

お笑い界でよく話される伝説で、こんな話しがある。

吉本がNSCという若手養成所を作った最初の年、「生徒たちの漫才を見てやってほしい」と会社に言われたオール巨人さん、明石家さんまさん、島田紳助さんは、それぞれ別の日に、NSCに出向き、軽く講師のようなことをしたそうだ。

その時に全員の漫才を30秒ずつ見たという。

そして後日、偶然3人で会う機会があり、そのときのことを「一組だけやったな」と話したという。

細かく話す必要もなく、「(NSC行ったけど、おもしろかったのは)一組だけやったな」と。

それが、若き日のダウンタウンである。

また、島田紳助さんは売れる前のウーマンラッシュアワーを「行列のできる法律相談所」ではっきりと「めっちゃスゲーと思った」と公言している。

youtubeで探せばその動画も見れるはず。

そしてそれ以降のウーマンラッシュアワーの活躍はここで語るまでもない。

今こそ本当のガチンコを

この時代になると、「ガチンコ!ファイトクラブ」よりも、「ガチンコ!漫才道」のほうがおもしろく見える。

当時は、ガチンコ漫才道を、「講師と揉めたりするシーンがないから、退屈だな」と視聴者は思ったことだろうが、今だとそれは逆転すると思う。

あざといものは、すぐに飽きられる。

それよりも、多少地味でもリアルなもの、つまりは、ガチンコのほうが受ける。

今こそガチンコをやったらいいのではないか。