鷺谷政明の埼玉県外

人と被らない会話の小ネタ

太宰治は人間失格や斜陽でもなく「ヴィヨンの妻」から入れ

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太宰治の本を読んでみようと思ったら、『人間失格』『斜陽』からではなく、まずは『ヴィヨンの妻』から読んでみてほしい。

理由は4つ。

理由1 読みやすい

昭和の文豪というなにやら難しいイメージがあるかもしれないが、とにかく本作は読みやすい。

難しいことは何一つない。

理由2 短い

本作は短編集なので、一話ごとの話がとても短い。

そのため、「太宰治ってよくわかんねえな…」「この話つまんないな…」と思った頃には読み終わる。

理由3 おもしろい

おもしろいの定義は非常に広いが、本作の前半はかなりユーモラスでおもしろい。クスっとできるおもしろささえある。

『親友交歓』はまるでコントのようだし、『トカトントン』は江戸川乱歩の『人間椅子』を笑いに昇華させたかのよう。

理由4 太宰治の人間性が掴める

これは私の推測も含まれるが、本作は、太宰治の実体験に創作を加えたフィクションだ。

この人の作品はそういうものが多いけど、限りなく実体験(実際の家族構成などの設定)に近い描写が多いので、太宰治の人間性を大枠うかがい知ることができる。

『人間失格』や『斜陽』は、この作品にサラッと触れて著者独特の空気感に馴染んでから読んだほうが、より行間が読める。

映画も解説本も必要ない。『ヴィヨンの妻』から読めばいい。

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